おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

つげ義春「ねじ式」

8mm劇画「ねじ式


ねじ式」を読むと夢見心地になる
基本的に登場人物達の会話が噛み合ってないんだよな

主人公「このビルは 金太郎アメの製法特許で 建てたものでしょう」
主人公「たしかに 金太郎アメ は新機軸です このアイデアは ぼくの母も昔考えていたのです」
婆さん「ギクッ」
主人公「もしかして あなたは ぼくの おッ母さんでは ないですか」
主人公「ねッ じつは そうなん でしょう」「ぼくが 生まれる 以前の おッ母さん なのでしょう」 

ここがさり気に異常すぎると思う
なんだよ「生まれる以前のおッ母さん」て
「ゲンセンカン主人」も話がループしてそうで怖いのなんのって
つげだけはガチ


どこぞの民俗学者がつげを「漂白の民」と呼んでいたが、この表現が最も本質を指していると思う
読んでいる間の居心地の悪さ、世界に対する異邦人の感覚がどの話にも通底している
ねじ式」ばかりが取り上げられるけれど旅ものが一番本領を発揮出来てる気がしてならない
珍しく普通な作風の「チーコ」が妙に泣けた