おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

2018-01-01から1年間の記事一覧

ダグラス・アダムス「宇宙の果てのレストラン 」

ラジオドラマの脚本を小説に仕立てた経緯もあり構成のバランスが悪く感じた逆にSF的な設定がしっちりしているのでマニアには堪らんのだろう普遍性を放棄し、カルト的な人気に留めた作品

チャールズ・ブコウスキー「ありきたりの狂気の物語」

「町でいちばんの美女」と対になる短編集。青野聰によるあとがきが感動的。どう考えてもトイレが詰まったのは彼女がきてからだった。それだけではない、いらいらや陰気な考えや不吉な空気みたいなものが、みんな彼女とやってきたのだった。彼女自身は、戦争…

小野不由美「月の影 影の海」(再読)

改めて読み返すと銀英伝の影響が色濃くて、世界観そのものに作品意図を感じる。 この世界、天帝が理想の国家を作ろうと計画して築き上げた感じするな。女媧的な 開発独裁しか許さない理になっているのも気になる。何かの実験場のような 里木からしか子供が産…

ヘッセ「デミアン」

不思議な小説である。書き初めは青春小説のようでありながら、最後は近代的自我の誕生と近代の誕生に至る。ここに綴られる言葉の数々はヘッセ自身が得た啓示なのだろう。大切にしたい言葉の強さがある。私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところの…

ダグラス・アダムス「銀河ヒッチハイク・ガイド」

バカSFとして著名なんだけど、出てくるエピソードが悉くエスプリが効いてて作者の教養水準が伺える。何気に作者はモンティパイソンの関係者だったりもする。更に言うとDrフーとの絡みもあって英国サブカルチャーの底力を感じます。JKローリングもこーゆーノ…

大塚英志「木島日記 もどき開口」

大筋でつまらんかった。出てくる文学知識も大ネタばかり。ただ、最後の仕分けは圧巻につきる。サブカルもどきの皇国史観が首相の口から飛び出す現代だから皮肉がきいてる。「つまりこの国が今やあってはならないものなのだ」

野崎まど「know」

最後のオチが釈然としない。戻って来れるの?

岡田尊司「パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか」

めちゃくちゃ良い本でした。人間観察系の本としては完成形では無いでしょうか。様々な経験を積んだ著者の語り口は優しく、人間の大きさを感じます。ちなみに僕は強迫性と自己愛性障害が当てはまりました!「先生、転んでも大丈夫です。一回余分に起き上がれ…

神岡真司「効きすぎて中毒になる 最強の心理学」

サイコパスにもらったので読んでみました。文体の浅薄さといいサイコパスぽくて良かったです。

朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」

映画見てから読んだのであっさりした印象でした。人間関係が淡白で最後まで相互理解は得られない。僕は実質朝井リョウなのでこの感覚分かるな〜と思います。他人の心情は理解不能ということ、自分が何者であるかは自分で決めないといけないこと

朝井リョウ「時をかけるゆとり」

直木賞を取っていないことを除けば実質朝井リョウなので読んでみました。さくらももこの延長線にあると思うんですけど、ブログ的というか、あまり敵を作らない書き方の印象です。冷静に観察して目的に向かって飄々と行動する。これがインターネット世代、ボ…

チャールズ・ブコウスキー「町でいちばんの美女」

ホモ率が高い。。。どの話もバイオレンスと下ネタまみれで悪ふざけている。明らかに旧き良きアメリカ文学との間に断絶があって、露悪趣味とも取れる厭世観は大戦を経てのものかもしれない。計算してのものではないだろうが「白いあごひげ」には特に戦争の影…

ミヒャエル・エンデ「鏡のなかの鏡―迷宮―」

「バベルの図書館」を始め言葉によって形而上学的な概念を描き出す試みは昔からあって、本作はそうした流れに位置する実験小説と思われる。タイトルの通り夢を舞台にした意識の可視化が主題となっていて、物語として面白いかというと好き好きではあるが、こ…

津村記久子「エヴリシング・フロウズ 」

成長の物語津村記久子という書き手に対する信頼が僕にはあって、それは作者が立脚する価値観、世界観が正しく在るべきものと感じるからだ。解説でも触れられているように、彼女はラベルを貼って物事を分かった風に誤魔化さない。それと同時にキャラクターの…

チャールズ・ブコウスキー「パルプ」

パルプ小説のパロディとして書かれた本作。B級にB級を重ねているので訳が分からない筋立てとなっている。それもブコウスキーらしさというか、ブコウスキーのグダグダさが好きな人には堪らないのかもしれない。僕はどうでも良かったです。