おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

2014-01-01から1年間の記事一覧

サン・テグジュペリ「人間の土地」

ちょっと訳に癖がありました。あらすじ飛行士としての15年間の経験を基に巧みな筆致で語るエッセイで、極限状態での僚友との友情や、人間らしい生き方とは何か、が主題となっている。飛行士という言葉がロマンを持っていた時代の随筆録。飛行という行為には3…

ヘミングウェイ「老人と海」

あらすじキューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食い…

スティーヴン・バクスター「タイム・シップ」

あらすじタイム・マシンで未来をめざした時間航行家は、最初の旅では見なかった驚くべき光景を目にした。地球の自転が操作され、四季の移り変わりや昼夜の変化までも失われ、さらには太陽にまで手が加えられている。そこは最初の旅で訪れたのとはまったく違…

町山智浩「本当はこんな歌」

前から思ってたんだけど、洋楽の日本盤って歌詞対訳のレベルが低いんだよね。ネットで探したほうが正確な意味取れてるのゴロゴロ転がってる。翻訳というのは単語を置き換えていくという行為じゃなく、文化的なバックグラウンドを踏まえて物語を構成するとい…

J・G・バラード「結晶世界」

あらすじアフリカの癩病院副院長であるサンダースは、一人の人妻を追ってマタール港に着いたが、そこからの道は何故か閉鎖されていた。翌日、港に奇妙な水死体があがる。死体の片腕は水晶のように結晶化していた。それは全世界が美しい結晶と化そうとする無…

海猫沢めろん「左巻キ式ラストリゾート」

あらすじ目覚めた僕は記憶を無くし、12人の少女たちが暮らす見知らぬ学園にいた。僕の覚醒と時を同じくし、外部を喪失した学園では、トーチイーターと名乗る犯人による強姦事件が連鎖的に起こる。次々と餌食になる少女たち。犯人は誰なのか、この閉鎖された…

高遠るい「CYNTHIA THE MISSION」

後半になるほどバキに人を殴れば骨が折れるし血も流れる それは女の子でも当たり前のことだ その当たり前の描写が半ばタブー視されているのが日本社会だと思う だからこそ血みどろでズタボロになって闘うシンシア達の姿は鮮烈な印象を放つ少女たちが暴力を選…

ヤン・シュヴァンクマイエル「アリス」

“シュヴァンクマイエルの”アリスなので注意が必要 当然、原作通りには進みません 常に付きまとう死のイメージが見る側の不安をかき立てて異なった印象を与えている 「食事という行為」に対し嫌悪感を催させる描写が挿入されるのもお約束 でもねー本来のアリ…

寺山修司「書を捨てよ、町へ出よう」

評論のような詩集のような本でない本 寺山修司の空想はあらゆるものを縦断して現実を切り出していく その底にあるのは無頼の思想であり、本作は一点破壊による現代社会へのカウンターなのだ 「自殺入門」が中々に含蓄あるね 何を撃つの?と少女が訪ねた。 太…

ハーラン・エリスン「世界の中心で愛を叫んだけもの」

傑作短編集 基本的にエログロの手法で書かれているけど、著者の主眼は人間性を浮彫りにする事に置かれているので再読に耐える そこまで捻ってない話もあるけどね 軽めの話はTV脚本用に作ったんじゃないかと思ったり 表題作はパンドラの箱を作った側の視点か…

女の子ものがたり

西原理恵子の冷静な現実認識…地方の貧困家庭の閉塞感が非常に上手く撮られてる チンピラと結婚して、DV振るわれて、崩壊家庭になるのが分かっていながら親と同じ道を進んでしまうというアレね袋小路に陥りやすい環境というのは存在するのだ その外側からの視…

村上春樹「海辺のカフカ」

四国の図書館に着いたカフカ少年が出会ったのは、30年前のヒットソング、夏の海辺の少年の絵、15歳の美しい少女――。一方、猫と交流ができる老人ナカタさんも、ホシノ青年に助けられながら旅を続ける。〈入り口の石〉を見つけだし、世界と世界が結びあわされ…

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

1960年プラハ。マリ(著者)はソビエト学校で個性的な友達と先生に囲まれ刺激的な毎日を過ごしていた。30年後、東欧の激動で音信の途絶えた3人の親友を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!なんか amazonでランキング1位になってたから…

高田裕三「3×3EYES」

エヴァ以前のサブカル漫画の金字塔日本一有名な無名漫画グロから宗教な要素までサブカル的な部分がごった煮になっています後半は冗長だけどそこも含めてのサザンでしょうチベット密教からヒンドゥー教までに渡る引用は濃ゆいに尽きる単行本最終巻は雑誌掲載…

手塚治虫「新選組」

若き一隊士、深草丘十郎を主人公に激動の幕末を描く 理想とか無常観とかテーマが実に深い そんなに有名な作品ではないが非常によく出来ています

手塚治虫「ロック冒険記」

綺麗なロック こんな清純子役だった頃もあったのです

手塚治虫「アラバスター」

手塚先生はこの作品毛嫌いしてたらしい俺はすごい好きなんだけどな人種差別から強姦まで鬱要素てんこ盛りのピカレスクロマンです今だにピーナッツ飛ばす技が出来る気がしてる

エグゼクティブ・デシジョン

セガールが飛んでいった ジャケに大きく描かれた彼の顔は何なんだ ネタとして満点

ジョージ・オーウェル「動物農場」

ロシア革命を風刺した寓話そこには、全ての権力構造は腐敗するという真理が描かれている同時収録のエッセイ「象を射つ」「絞首刑」も植民地支配の本質を突いており必読こうした書物は読める間に読むべき

伊丹敬之・丹羽宇一郎「まずは社長がやめなさい」

当時の伊藤忠の社長と一橋大教授の対談 今世紀の初めに行われたものであり、以降の推移を鑑みるに重要なポイントが論じられています それは米国的な企業統治に対する警鐘だったり人材管理への提言だったりするわけで 日本経済全体を俯瞰するかんじなので、軽…

Sex Pistols / Never Mind the Bollocks

邦題「勝手にしやがれ」オリジナルパンクの教科書的な作品何気にまともに演奏してるんで、スタジオミュージシャンが吹き込んだ疑惑もあるライブ盤とかこの世の物とは思えないからな内容は3分以内にまとめたポップソング集で、ロットンの逝かれたボーカル以外…

バグダッド・カフェ

舞台はアメリカ、モハーヴェ砂漠にある寂れたカフェ バグダッドとは近くにある町の名前から来ている ゆったりとした優しい時間が過ぎる中、異邦から我が家へと変わっていく感覚に癒される 出てくる人が皆幸せな顔してるのが泣けるんだよな 人と人との触れ合…

スパルタンX

同名ゲームのおかげで知名度がやたらある映画深刻な場面が一つもなく終始コントみたいであるしかしながら、本作で見られるユンピョウ・ジャッキー・キンポーら三銃士の体捌きはまさに最盛期を示しており圧倒的それこそがカンフー映画の醍醐味でなかろうか

永瀧達治「ゲンスブール、かく語りき」

セルジュ・ゲンスブールの名言集 フランス音楽界最大の問題児だけあって言いたい放題で笑える ただ、著者のゲンスブールを意識した文体が鼻についた もっと発言の背景を書くべきだったと思う 「父に叱られると、私はベッドの中で仰向けに寝て泣いた。自分が…

Soundgarden / Superunknown

曲にメリハリが出た事で一般にも売れた作品 こんだけ重くても聴き易いのは驚き 「Spoonman」がカッコいいんだよね、薬中の歌のくせに 日本盤のライナーが「コーネルの目つきの悪さでビクンビクン」みたいな変な文章で笑った

士郎正宗「攻殻機動隊」

押井の主張が前面に出た映画版と違って分かりやすい刑事物に仕上げてる 原作はブレードランナー的なサイバーパンクのど真ん中を行ってるんですよねエンタメとしてはこっちの方が良質だろう 発売年を考慮すると、未来描写が本質的な部分で古びてないのが士郎…

チーム★アメリカ ワールドポリス

世界の平和を乱すテロリストに対抗すべく結成された「チーム★アメリカ」の活躍を描いた人形劇。過激な内容で公開も危ぶまれた話題作。R-18指定作品。ありとあらゆる方面に喧嘩を売ってる人形劇 左右を扱き下ろしてるんで誰からの助けも得られない反骨精神の…

808 STATE / Utd State 90

Pacific 202アメリカで発売された「90」の編集版 曲数が多いのでお得になってると思う ハウスミュージックの起爆剤となった作品であり、当時のマンチェスターシーンに与えた影響は非常に大きい テクノでありながらバンド形態を取っていることで、有機的な質…

ブライアン・W・オールディス「地球の長い午後」

キノコやばいあらすじはるか未来、寿命が尽きかけ膨張した太陽のもと、地球の自転は停止し地上には永遠の昼と夜が現れた。熱帯と化した昼の世界では、巨大に進化した樹木が大陸を覆い尽くし、活動する食肉植物が絶滅した動物にかわって地上を跋扈していた。…

桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」

あらすじ“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。―千里眼の祖母、漫画家の母、そ…