おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

ヘッセ「デミアン」

不思議な小説である。
書き初めは青春小説のようでありながら、最後は近代的自我の誕生と近代の誕生に至る。
ここに綴られる言葉の数々はヘッセ自身が得た啓示なのだろう。
大切にしたい言葉の強さがある。



私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。

鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。 卵は世界だ。 生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。 鳥は神に向かって飛ぶ。 神の名はアプラクサスという。

かえりみて、きみ自身にかえらなければならない。
そしてほんとにきみの本質から出て来るものを実行しなければならない。

人は自分の夢を見いださねばなりません。そうすれば道は容易になります。
でも、たえず続く夢というものはありません。どんな夢でも新しい夢に代わられます。

巨大な鳥が卵から出ようと戦っていた。卵は世界だった。世界は崩壊しなければならなかった。