おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

存在の耐えられない軽さ

ニーチェ
「人生は永劫回帰するものであり、どんなに小さな失敗でも無限に繰り返す。故に人生は無限の重さを持ち、それを引き受けて生きないといけない」
と述べていた
これに対しミラン・クンデラは「存在の耐えられない軽さ」において
「だが人生は繰り返さない。どんなに酷い失敗でも二度とは訪れない。また、試しに生きることなど出来はしない以上、全ては許され得る。故に人生は無限に軽く、吹けば飛ぶようにどうでもいいものである」
と語っている
そう、人生なんぞ大したもんじゃないのだ
これは酷く気楽で幸せな考えで、何だか救われる

あらすじ
本書はチェコ出身の現代ヨーロッパ最大の作家ミラン・クンデラが、パリ亡命時代に発表、たちまち全世界を興奮の渦に巻き込んだ、衝撃的傑作。「プラハの春」とその凋落の時代を背景に、ドン・ファンで優秀な外科医トマーシュと田舎娘テレザ、奔放な画家サビナが辿る、愛の悲劇―。たった一回限りの人生の、かぎりない軽さは、本当に耐えがたいのだろうか?甘美にして哀切。究極の恋愛小説。

本作は恋愛小説とされているが通常のそれとは違う
テーマが題名どおりに置かれていて非常に思索に富む内容となっている
プラハの春後の閉塞した社会を舞台に綴られる物語は人生の本質を突いてくる
綺麗事でいい加減に誤魔化すような作家が多い中、赤裸々に全てが暴かれており作者の力量に驚きます
生涯に於いて再読に耐え得る作品だと感じた