おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

世にも不幸なできごと

ハリーポッターの登場により児童文学が俄に注目を集めた
玉石混合、様々な作品が溢れでた訳です
その中の一つにレモニー・スニケット作「世にも不幸なできごと」シリーズがある

この作品は
「両親を亡くした三姉弟妹がその遺産を付け狙う悪党オラフ伯爵の魔の手から毎回辛くも逃れる」
というのが基本プロットになっている
一見単純な勧善懲悪モノに思えるがさにあらんや
・序盤から張り巡らされた数々の伏線
・語り手の物語介入による入れ子構造
・善悪の相対化
といった凡庸な児童書と一線を画す特徴を備えている
12巻目はオラフ伯爵と子供達の類似性が指摘され伯爵が善性に目覚めて終わる
原著は全13巻で完結するのだが最終巻を出す前に翻訳元の草思社が倒産してしまい長らく生殺しになった
ところが、なんと一年越しで意地の最終巻が出たのであった
これには感動したね
個人的に気になったのは
・前にも同じような境遇の三つ子がいた
・オラフも主人公達と似た様な経緯を辿って悪人になったらしい
という点で、運命が相似を描くとするとすると彼らはボードレールの子供達の未来の姿ということに…

何れにしろ、このシリーズは児童文学を装って書かれた現代文学史に残る大傑作だと確信しています
現地だと大ベストセラーな訳で、その内日本でも正当に受容される日がくるんじゃないかと


遂に出た最終巻
最後まで読んで「終わり」の意味が分かる
ここに来て色々と物語の広がりを感じさせる展開に吃驚
この世界って円環構造になってそう