おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」


あらすじ
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を―。キングが絶賛する伝説の名作。

吐き気がする程の読書体験
ボーイ・ミーツ・ガール物の体裁と取りながら、全てが最悪の方向に転がっていく物語
各所で「読まなきゃよかった小説ランキング1位」に認定されおり、順調にトラウマ被害を増やし続けているようである
ポルノ紛いの扇情的な描写と悪趣味な暴力描写が問題にされがちだが、本当に酷いのはこれが実際にあった事件をベースにしていることだろう
フィクションで済ませることの出来ない重みは読み手の胸をいつまでもむかつかせ続ける
一方で、解説で指摘されるように「善と悪の対決」というテーマもあるんじゃないかと
作中でルースを死なせるあたりにケッチャムなりの倫理観があるような
主人公は最後にチャンドラー一家は人間じゃないと結論付ける訳だが、越えたらもう人間じゃない一線は確かにあると思うよ