おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

Cocteau Twins

ある種の宗教に見られる「存在しない言語を喋り始める現象」、これは異言と呼ばれるそうな
実際に真似して適当に喋ってみると分かるが言語の様相を呈するのは何気に難しい
そんな感じで歌作る奴が偶にいる
声を楽器として扱うってのは行き着くと言葉じゃなくてもよくなるからね

Cocteau Twinsは80年代に出てきた異色のバンドで独自の美学を持っていた
ひたすらエコーかけてギターだかキーボードの音色かも判別できない中で誰も分からない言葉を歌う、売れ線音楽の真逆の方向性 
時代の流れと隔絶した音楽性はインディーズながら多くの支持を集めマイブラなんかも影響を公言している
聴いてるとメンバーの「人生は悲しいが美しい」の言葉が何となく伝わって来る気がする
今でいうシガーロスみたいな立ち位置だろうか

Aikea Guinea



Lorelei


Squeeze-Wax



邦題「神々が愛した女たち」
4ADの特徴である耽美や幻想的といったイメージを体現した作品
元祖シューゲイザーとも言われ、今出てたらポスト・ロックに分類されそう
アートワークの素晴らしさ、内容の充実度、その全てが完璧でありここまで完成された美しさは類を見ない
どこを切り取っても天上から降り注ぐような福音に満ちている傑作
「Lorelei」には震えた
84年発表ながら何ら古びることのない輝きを感じるのはここに普遍的な何かがあるのだろう


メジャー移籍一作目
4AD期の神秘性は薄まったがよりポップになって気軽に聴ける
聞き取れるようになった歌詞とガラスを打ち鳴らすような音から爽やかな印象を受ける
「Squeeze-Wax」は隠れた名曲
バンド名の元ネタの元ネタはジャン・コクトーなんだろうな


最終作
基本は前作の路線上だが少し原点回帰してる
多彩なエリザベスの高音での掛け合いは唯一無二の才能だね
恋人だったジェフ・バックリーに当てたと目されるメッセージは胸に込み上げる物がある
温かく優しい作品


入手が困難だったEPやミニアルバムが纏めてある
初期のゴシック色が強い頃から始まり独自の静謐な世界観が確立するまでの軌跡は本当に美しい
全キャリア屈指の名曲「Aikea-Guiena」が入っているのも嬉しい
マイブラ等が名指しで影響を公言していたように今に至るまでその足跡を感じる事が多々ある
4ADが神秘に包まれていた時代の音
夢は今もここにある


フォンタナ期のシングルが纏めてある
かなりポップになった為に賛否が別れるが、楽曲の質はむしろ洗練されたと思う
カラフルな色彩感覚を印象に受けた
本作に収録されているアコースティックバージョンで聴くと一層その思いが強まる
これも必聴