おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

ジョナサン・サフラン・フォア 「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」



911をモチーフにしてるけど、もっと普遍的な人間の悲しみを描いた作品でした。
物語に沿って挿入される写真だとか、視覚に訴える工夫が印象的。
混乱した登場人物による乱れた語り口など、言語化できない感情を描写することに主眼が置かれています。

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だからこの本はあまり言い切るということが無くて捉えがたい結末を迎える。
全ての感情が言葉に出せる訳じゃないし、掬い取れない細かな感情の機微を描くにはこうするしか無かったということでしょう。
表現の可能性を感じる1作