おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

三田誠広「いちご同盟」


あらすじ
高校受験と自分の将来に悩み、死さえ考えた良一。野球部のエース徹也を通じて、不治の病の少女・直美と出会い、生きる勇気を知った。15歳の少年が見つめる愛と友情と死

これ、昔、何かの問題集でちょっとだけ読んだんだよね。気になっていたので決着を着けようと読んでみた。
なんでも学習指導要領に入ってるらしくて一種難病物のお手本のような趣きがある。
意外だったのは直美のストーリーラインが淡々として進むこと。
それもあって読み終わった後に思うのは、本作があくまで生者の側の物語だったということだ。
生きることに意味を見出せずにいた良一が「いちご同盟」という生きるための約束を結ぶ物語として成立している。
センチメンタリズムというよりも今生きている15歳に読ませたくてあの問題集の選者はチョイスしたのではと感じます。
いい判断だ。


「あたしは運命を恨むわけにはいかない。運命が、あなたをあたしの前に連れて来たのよ。だからあたしは、この運命(自分が助からないこと)を、喜んで受入れようと思うの」
「あなたに会えて、よかった」