おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

チャールズ・ブコウスキー「ありきたりの狂気の物語」



「町でいちばんの美女」と対になる短編集。
青野聰によるあとがきが感動的。

どう考えてもトイレが詰まったのは彼女がきてからだった。それだけではない、いらいらや陰気な考えや不吉な空気みたいなものが、みんな彼女とやってきたのだった。彼女自身は、戦争や憎しみを憎む、愛のために生きてる善良な人物だというのに。

小野不由美「月の影 影の海」(再読)




改めて読み返すと銀英伝の影響が色濃くて、世界観そのものに作品意図を感じる。

開発独裁しか許さない理になっているのも気になる。何かの実験場のような
里木からしか子供が産まれないのは人口調整なのか


莫迦やって、それが自分の損になるだけだと分かってても、人はあえて罪に踏み込むことがある。人は愚かだ。苦しければなお愚かになる

ヘッセ「デミアン」

不思議な小説である。
書き初めは青春小説のようでありながら、最後は近代的自我の誕生と近代の誕生に至る。
ここに綴られる言葉の数々はヘッセ自身が得た啓示なのだろう。
大切にしたい言葉の強さがある。



私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。

鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。 卵は世界だ。 生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。 鳥は神に向かって飛ぶ。 神の名はアプラクサスという。

かえりみて、きみ自身にかえらなければならない。
そしてほんとにきみの本質から出て来るものを実行しなければならない。

人は自分の夢を見いださねばなりません。そうすれば道は容易になります。
でも、たえず続く夢というものはありません。どんな夢でも新しい夢に代わられます。

巨大な鳥が卵から出ようと戦っていた。卵は世界だった。世界は崩壊しなければならなかった。

ダグラス・アダムス「銀河ヒッチハイク・ガイド」



バカSFとして著名なんだけど、出てくるエピソードが悉くエスプリが効いてて作者の教養水準が伺える。
何気に作者はモンティパイソンの関係者だったりもする。
更に言うとDrフーとの絡みもあって英国サブカルチャーの底力を感じます。
JKローリングもこーゆーノリあるよなと思ったり。

大塚英志「木島日記 もどき開口」



大筋でつまらんかった。出てくる文学知識も大ネタばかり。
ただ、最後の仕分けは圧巻につきる。
サブカルもどきの皇国史観が首相の口から飛び出す現代だから皮肉がきいてる。

「つまりこの国が今やあってはならないものなのだ」