ダグラス・アダムス「宇宙の果てのレストラン 」
ラジオドラマの脚本を小説に仕立てた経緯もあり構成のバランスが悪く感じた
逆にSF的な設定がしっちりしているのでマニアには堪らんのだろう
普遍性を放棄し、カルト的な人気に留めた作品
チャールズ・ブコウスキー「ありきたりの狂気の物語」
「町でいちばんの美女」と対になる短編集。
青野聰によるあとがきが感動的。
どう考えてもトイレが詰まったのは彼女がきてからだった。それだけではない、いらいらや陰気な考えや不吉な空気みたいなものが、みんな彼女とやってきたのだった。彼女自身は、戦争や憎しみを憎む、愛のために生きてる善良な人物だというのに。
ヘッセ「デミアン」
不思議な小説である。
書き初めは青春小説のようでありながら、最後は近代的自我の誕生と近代の誕生に至る。
ここに綴られる言葉の数々はヘッセ自身が得た啓示なのだろう。
大切にしたい言葉の強さがある。
私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。
鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。 卵は世界だ。 生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。 鳥は神に向かって飛ぶ。 神の名はアプラクサスという。
かえりみて、きみ自身にかえらなければならない。
そしてほんとにきみの本質から出て来るものを実行しなければならない。
人は自分の夢を見いださねばなりません。そうすれば道は容易になります。
でも、たえず続く夢というものはありません。どんな夢でも新しい夢に代わられます。
巨大な鳥が卵から出ようと戦っていた。卵は世界だった。世界は崩壊しなければならなかった。
野崎まど「know」
最後のオチが釈然としない。戻って来れるの?