おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

園子温「自殺サークル 完全版」他

これ紛らわしいのだけど自殺サークル(映画版)→自殺サークル(小説版)=紀子の食卓の順番になっている。
個別で見るのと続けて見るのだと印象が大分変ってくるので全部どうぞ。つうか全部見ないと意味わからんと思う。
漫画版もあるらしい。







非常にテーマ性が強い作品でした。3作とも「代替可能な役割としてのワタシ」を巡る物語になっている。
全員が必要な役割(被食者⇔捕食者、シャンパン⇔グラス)を演じることで調和の取れたシステム、すなわちサークル(環)を作っていこうというのが真相というか大きな物語ですね。最初に飛び降り自殺した女子高生は自殺者の役割を演じたのです。
そのサークルに組み込まれるもの(徹三)、サークルから外れるもの(ゆか、1作目の主人公ぽい女)という対比もあるので一概にも言えないんだけど。後者の方が正しい個の在り方に描かれてるし。
ちなみにデザートとかいうアイドルグループは教団が思想を広めるために純粋培養した子供たちらしい。真相厨は俺に感謝したまえ。

しかし役割としての自殺は無理あると思うんだよなー、大量の自殺者を必要悪として許容する現代社会への批判なんだろうけど。
意外に「自分を取り巻く関係性と正面から向き合え!」とストレートに訴えたかったのかもしれない。深い…


あなたとあなたの関係は?
今、あなたが死んでもあなたと関係ありますか?

今、あなたが死んで、あなたとあなたの関係が消えますか?
あなたはあなたの関係者ですか?

なぜ人の不安を自分のように感じ取れなかったのですか?
なぜ自分のことのように他人の不安を抱えられなかったのですか?

今、あなたが死んでも、あなたとあなたの恋人の関係は変わりません。
今、あなたが居なくなっても、あなたと世界との連結、大丈夫です。
ではなんであなたは生きています?

あなたはあなたに求められていますか?