おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

ウィリアム・ホープ・ホジスン「ナイトランド」

大抵のことはディスコスを回転させると解決する。


あらすじ
百万年後の滅びゆく地球。絶滅の危機を逃れた人類が暮らすピラミッドの外界は、巨大な怪物が闊歩する「ナイトランド」だった。H・P・ラヴクラフトやC・S・ルイスが絶賛した20世紀イギリスを代表する異次元幻想怪奇小説ついに復刊。

僕、軽い文庫本なら2時間で読めるんですけど、これ読み終わるのに1年かかりました。
後悔はないが再読もないであろう名作…着想の奇抜さ・壮大さは幻想文学史に輝くレベルなんですけど文章が下手すぎる…
遠回しすぎて意味分からなくなっている修辞表現の連発に体力を奪われます!
なんか勝手に訳者がテキストカットしちゃってるんですけど割と英断ではないでしょうか。
編集者もチェックする気力がなかったのか誤訳が目について笑えます(ex.473ページ)
この難読性が最後100ページの異様な盛り上がりを産み出しているのかもしれません。地流wwwビームwwwww

私的な話ですけど、ちょうど周りの環境がガラッと変った頃に本書を読み始めたので、自分の中の2012年度にケリを着けるという意味もあって特別な読書体験でした。
歩いても歩いても遅々として目的地に達せない主人公の姿に自分を重ねていたのかもしれません。
それでも最後にはうるわしのミルダスを救い帰還する“ゆきてかえりし物語”に着地するということ、最後の1ページが閉じられるということ、読書という行為が単に情報の伝達以上の意味を持つのならそれは希望ということだと思います。
最後に訳者のあとがきから抜粋

「事実、訳者としても『ナイトランド』を翻訳することは苦痛以外のなにものでもなかった。(中略) 
しかし、どうしても日本語に移しておかなければいけない作品でもある。なぜなら、本書は、これまでの多くの酷評にもかかわらず、やはり後世に残るべき一大異常作であったからだ。一人でも多くの人に読み通していただきたいと願うばかりである」 荒俣宏