おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

伊藤計劃 「The Indifference Engine」


あらすじ
ぼくは、ぼく自身の戦争をどう終わらせたらいいのだろう―戦争が残した傷跡から回復できないアフリカの少年兵の姿を生々しく描き出した表題作をはじめ、盟友である芥川賞作家・円城塔が書き継ぐことを公表した『屍者の帝国』の冒頭部分、影響を受けた小島秀夫監督にオマージュを捧げた2短篇、そして漫画や、円城塔と合作した「解説」にいたるまで、ゼロ年代最高の作家が短い活動期間に遺したフィクションを集成。

ルワンダ内戦に範をとった表題作が圧巻でした。
「こちら」と「あちら」が違うから争いが起きるのなら、その差異を“無いこと”にしてやれば平和が訪れるのか?という現代の社会情勢にも通じる問題意識が呈されています。
パクス・アメリカーナに代表される上からの秩序、それに対する反発としての人間性。
はたして人が人を憎むことも権利なのだろうかと考え込みました。

「戦いがはじまるまでは誰も歴史に関心がなかった。歴史ってのはな、戦争のために立ち上げられる、それだけのもんなんだ。」