おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

シャーリイ・ジャクスン「くじ」

とりあえず「くじ」を読んでみましょう
著者自身による解説、というか言及はここ

 
あらすじ
町中の人が集う広場で行なわれるくじ引きで、いったい何が決まるのか-。表題作「くじ」のほか、人間の残酷さを抉り出し、読む者を狂気の世界へ誘う21編を収録した短篇集。

ジャクスンは本当に精神病の気があったので“狂気”という形容が洒落にならなかったりする
一度読めば生涯忘れられない読書体験になることでしょう!
この短編集ではふとした日常で垣間見える人間の悪意が主な題材になっています
ホームレスに施しを与える時の下卑た優越感、のように心当たりある一瞬を切り取ることで読み手に自身の姿を付き付ける手腕たるや
一応悪魔性の象徴としてジェームズ・ハリスなる人物が共通して登場するものの、あくまで彼は触媒として働くだけで悪魔は我々の中にいるのでしょう
異色作家短編集のシリーズを揃えたくなりました

知らぬ間に悪魔がぼくらのあいだを歩き回っているかもしれない。