おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

ジョン・アーヴィング「熊を放つ」


あらすじ
ウィーンの市庁舎公園で出会った二人の若者ジギーとグラフ。中古のロイヤル、エンフィールド700CCを駆り、オーストリアの田舎を旅する二人が見つけたものは、美しい季節の輝きと、手足のすらりとした女の子ガレン。すべてはうまく運ぶはずだった。ジギーが、動物園襲撃などという奇妙な計画を持ち出すまでは…。

変な小説だった
不安定な構成のせいで全体像を掴めないまま3部構成それぞれに脈絡・関連が有るような無いような話が展開していく
さらに修士論文として書かれたという経緯もあってか論文調で書かれた部分があり読みにくいことこの上ない
文章は冗長で散漫、到底名文と呼べるような代物じゃないだろう
しかし主人公達が戦争体験を引きずった世代であること、青年期であること、等々を考えると内容に沿った文法に基づいていると言えなくもない
混乱したまま、持て余したエネルギーを計画に注ぎ込む若者達の姿が鮮烈だった
文体が村上春樹を彷彿させるのは春樹本人が訳してるからなのか、春樹が影響下にあるからなのかが気になったので機会があれば調べたい