おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

北杜夫「楡家の人びと」


あらすじ
楡脳病院の七つの塔の下に群がる三代の大家族と、彼らを取り巻く近代日本五十年の歴史の流れ……日本人の夢と郷愁を刻んだ大作。

上巻
圧倒的な筆致で綴られる群像劇
昭和物として読んでも類を見ない程の充実感がある
数多い登場人物達はどれも生き生きとして作り物っぽさがないです
これは北さんの実体験が多分に含まれているからでしょう
この巻は楡家の開祖、基一郎が中心になっている

下巻
この作品の主人公は「家」であることがハッキリし、非常に巧く書かれている
様々な苦難が連続する中を登場人物たちが生き抜く様子に元気付けられます
善人とは言い切れない人間臭い人物造形が魅力的ですね
特に、龍子が凄く濃いキャラクターをしている
色々あっても世界は続いていくと実感