おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

森巣博 「神はダイスを遊ばない」


あらすじ
主人公は著者の分身とみていい。「私」は、オーストラリアを拠点にしている「常打ち(じょううち)賭人」である。要するに賭博でメシを食っている。そんな「私」がひいきのカシノで、若いが腕利きの女性ディーラー、ミーガンと知り合う。彼女の夢は「私」のような常打ち賭人になること。ある日彼女は、「私」にその夢の実現を相談する。私は博徒の苛酷さと無慈悲さを説き、やめさせようとするが、彼女は聞き入れない。常打ち賭人とは、「負けることを受容する」賭けをし、惨敗しても生き延びることに執着する人種なのだ。
私の心配をよそに、ミーガンは驚異的な勝ち星をあげていくが、そんな彼女の前に1人の男が立ちはだかる。ディーラー時代、彼女にしつこく言い寄った男だ。彼の挑戦を受けた彼女は、しかし一敗地に塗れ、身体をもてあそばれる。はたして、彼女はリベンジできるのか。「私」が仕掛けた乾坤一擲の勝負の行方は?

負けることを前提に打つというかなり現実的な内容
これを読んでギャンブルに幻想を抱く読者はいないだろう
勝負描写は嘘くさいが話としてはそこそこ面白い
「最大のリスクは、リスクをとらないこと」といった全てに通じる人生観が興味深いです