おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

アガサ・クリスティ「春にして君を離れ」


あらすじ
優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる…女の愛の迷いを冷たく見据え、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス。

クリスティはミステリ以外も幾つか書いてたりする
本作はその中で最も有名、かつ全キャリア中で最も優れた作品だと思う
基本的にクリスティ作品の登場人物って内面描写が少ないんですよね
だから「そうゆうの書けない人なのかな~」と思ってたんですよ
で、これだよ
少しずつ歪んでいく自己正当化の論理が鬼気迫る筆致で書かれていて吐き気がした
恐らく推理小説のフォーマットに必要ないと考えて出さなかっただけで、元々このレベルで物語を組み立ててたのでしょう
人間の心こそが一番のミステリーという所まで女史は迫っていたのではないだろうか
今だとカズオ・イシグロが近い気もするのう
人生観が変わる一冊