おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

Dead Can Dance

80年代4ADの屋台骨となったのがコクトー・ツインズと並びデッド・カン・ダンスだった
今現在もゴシックロックの伝説的存在とされているが、作品を出すごとにロックとかけ離れていったのが面白い
ミッションやらマーシーやらゴスバンドで溢れた時代だったけど彼らだけが本物を感じさせた
そこにあったのは宗教音楽的な嗜好でありある種の神秘主義だったように思う
中心2人の片割れリサ・ジェラルドは後に「グラディエーター」の主題歌でゴールデングローブ賞を獲得している

The Host Of Seraphim


mesmerism


Lisa Gerrard / Now We Are Free


以下は日本唯一であろうDCD全作レビュー


邦題「エデンの東
デビュー作であり、未だロックの文脈で語れる範疇
ただ、ジャケに見られるようにエキゾチックな傾向はこの時点から始まっている
ブレンダン・ペリーが歌う比重が多めです


邦題「深遠なる庭園にて…」
この頃になると楽曲が練られてきたのが分かる
「光の祭典」が好き


邦題「憂鬱と理想」
元ネタはボードレール
本作を機に古楽への探求が始まる
ポピュラー・ミュージックの正反対を志向する姿勢は、20年近く経た今こそ正当に評価することが出来る
コマーシャリズムの欠片も感じない音楽性は崇高に響くのだ
これぞ隠れ大名盤
「化身」の終盤は鳥肌が立つ


邦題「暮れゆく太陽の王国で」
この作品で完全にロックの文脈から離れた
前作の作風をより深化させた感じですね
ゴシック趣味の結実とでも言おうか
荘厳な「ミューズ神の召喚」の迫力は異常


このアルバムは冒頭の「熾天使軍」に尽きる
いきなりクライマックスじゃないか
全体としてはワールドミュージックに寄り始めた印象を受けた
「盲人の王国では片目は王様」のタイトルにハッとする


ジャケはルネサンス期の画家ヒエロニムス・ボスの手による「快楽の園」
本作は同時代の中世古楽の再現に主眼が置かれている
普通にメリハリが効いて楽曲としての質が高いので推奨盤です
「サルタレロ」とかこれで知りました
徹底した欧州趣味の理想形でしょう


このアルバムから路線が変わった
第3世界的なものに目を向け始めたかんじですね
無国籍なワールドミュージックとして成立している
アフリカン・ビートが特徴的な「ユルンガ」から、幻想的な「祭のあと」と幅広い
これも傑作


ライブ盤
DCDというとスタジオバンドの印象が強いが、本作は生身の彼らが感じられる貴重な作品
再現度とテンションの高さに驚く
ここでしか聴けない楽曲も多いので必携でしょう
冒頭に配された「Rakim」は珍しく二人で歌う絶品
同タイトルの映像作品も出てる


邦題「聖なる水」
彼らが残した最後のアルバム
中近東音楽への傾倒が顕著になっている
歌いまわしとかもそれっぽいね
イントロが面白い「Nierika」に始まり、「Song of the Dispossessed」「Song of the Nile」と駄曲が存在しない
素晴らしい音楽体験


邦題「時間軸の旅」
初期ベスト
新曲が2曲収録されてるんでここから入っても良いんじゃないでしょうか
ヨーロッパデカダンな空気が全面に漂ってる


BOXセットの中身を2枚組に絞ってある簡易版
収録時間ぎりぎりまで曲が入ってるのが嬉しい
曲の並びは年代順なのでその歴史を一望できる
前期後期でかなり音楽性違うんだけど、通底するのはストレンジミュージックとしての指向だろう
彼らが築いてきた、この世の物とは思えない理想郷は決して消えることはない
死者は踊るのだ