おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

Manic Street Preachers

報道カメラマン、ケビン・カーターは内戦下にあるスーダンを訪れた際にその惨状を目にした
そこで見た餓死寸前の少女を狙うハゲワシの姿に衝撃を受け「ハゲワシと少女」の題で知られる写真を撮影する
これはピューリッツアー賞を受賞すると同時に「何故その場で助けないのか」との非難に晒されることになった
その直後、彼は自殺する

Manic Street Preachersウェールズ出身の幼馴染4人で結成されたバンド
普遍的なメロディーに痛烈に社会批判する歌詞をのせ1st「Generation Terrorists」で衝撃的なデビューを飾る
この姿勢を偽者扱いする記者の挑発に対しギターのリッチーが腕に4REALとナイフで刻みこんだ伝説は有名である
彼は3rd「The Holy Bible」発表後失踪、現在に至るまで見つかっておらず死亡認定を受けている
残された3人はバンドを継続、4th「Everything Must Go」で全英1位に到達する

Kevin Carter


やあタイム誌、やあピューリッツァー賞
民族戦争の傷痕を総天然色で綴った記事
殺人部隊の銃を美化した写真
ケビンカーター
やあタイム誌、やあピューリッツァー賞
ハゲタカ共は飛び交い白色人種の嘘で築いた歴史は永遠に
君達の人生を荒廃させるモノクロフィルムに焼付けながら
ケビンカーター
象なんて醜いだけの生物じゃないか
脳みそなんて無いようなものだし
巣なんかなぎ払っちまえ
ケビンカーターは永遠に黒人支持派なのだから
ほらパチッパチッパチッ パチッとまた写真をとりまくってるぜ
ケビンカーター


また5thではスペイン内戦を題材に楽曲を作っている

If You Tolerate This Your Children Will Be Next

未来は君に孤独であることを教え
いまは恐怖と冷たさを教える
だからもしウサギを撃つことができれば
ファシストだって撃つことができる
今日君の頭に向けられる弾丸
それだって僕らはまた忘れしまう
ペンと紙で書かれた記念碑が
僕を驚くほど臆病者に変えてしまう
そして君がこれを許してしまえば
君の子供たちもこれに続いてしまう
君がこれを大目に見てしまうと
君の子供たちの世代が続かなくちゃいけなくなるんだ

こうした活動が認められ2001年にはキューバで演奏した初の西側ロックバンドとなった
90年代イギリスを代表する存在であり今も第一線で活躍している


衝撃の1st
曲の出来にムラがあるので飛ばしがちだが、圧倒的な楽曲も多い
「享楽都市の孤独」は最高に胸が熱くなるし、トレイシー・ローズがマイクを取る「Little baby nothing」はショウビジネスの空虚さを叩き付け続ける
全てはリアルの為に


「聖書」
4人で出した最後のアルバム
本作の発表後、ギターのリッチーは失踪し今も見つかっていない
極限まで尖ったギターが音を切り裂いている
レーニンから始まり歴代の権力者を虚仮下ろしていく「Revol」等、詩も今まで一番優れている
担当していたリッチーの精神状態が滅茶苦茶だった事が伺えてならない
リッチー・ジェームス、2008年11月24日、死亡認定


三人になってからのマニックスの出発点
題名からも意気込みが伝わってくる
本作で英国の国民的バンドになった
リッチーの遺した「Kevin Carter」の詞が泣ける
洗練されたメロディーが琴線に触れる一枚


ストリングスを大きく導入しメロディーのよさが突き詰められた作品
ブリットポップ終焉後の道筋を付けたとも言える
辛辣な歌詞も身につまされます
「Everlasting」「Tsunami」といった最高レベルの楽曲に加え、スペイン内戦について歌う「輝ける世代のために」が良すぎるだろ
現在クラッシュの精神を一番受け継いでるバンドだと思う