おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

パンク

ロック史を話す場合、一般にパンク以前と以降で分けられる。
プログレ、ハードロックといったクラシックロック全盛期はパンクの登場で幕を閉じたとされています。それ故に保守的なリスナー層はパンクに否定的なんだけど、あれは認識に間違いがある。
70年代前半は音楽理論が先行し技術偏重が頂点を迎えた時代でした。後期ビートルズがライブでの再現を放棄したのと同様に多くのバンドが再現不可能な作品を発表し続けた。素人が参入出来ないほど高度化されプロ達により産業化されたロックが行き詰るのは当たり前だったのではないでしょうか。 
そうした旧態を打破したのがパンクだった訳で。単調なコード進行、がなりたてるボーカル、ろくに弾けない楽器、それでもロックがなりたつことを示したのがパンクの功績なのです。音楽的な面ではなく「旧体制打破」という精神性こそが本来語られるべき。セックス・ピストルズが僅か一年で解散し「パンクは死んだ」と言葉を残したのも自身が旧体制たり得ないその精神性からと言える。

London-calling

パンクの後継者達もその音楽性を変化させポストパンク(Joydivision)、ニューウェーブ(NewOrder)と常に改革を推し進めていった。それは音楽史でも特筆されることだし凄いことです。
ところが、今のパンクは正直別物になってしまっている。メロコアで括られる分野には革新性がまるでなく同じような曲の再生産ばかりで精神性がまるでない。パンクの精神性は自身を否定し続けることで保たれるという原則が消えている。
そうした意味ではパンク全盛の時期にいきなりアコギ弾き始めたスミスは確かにパンクだったなーと思う。