おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

津村記久子「エヴリシング・フロウズ 」

成長の物語



津村記久子という書き手に対する信頼が僕にはあって、
それは作者が立脚する価値観、世界観が正しく在るべきものと感じるからだ。
解説でも触れられているように、彼女はラベルを貼って物事を分かった風に誤魔化さない。それと同時にキャラクターの心情を誤魔化すこともしない。
主人公たちは正しく世界を認識したうえで、正しい行動を、在るべき心の持ち方で選択する。
だから彼女が書く物語は強い力を持ち、読み手を勇気付けるのだろう。
地味にヘタウマな挿絵も良い。

まだ小さい彼が、親にも口止めされるような不当な暴力に晒されているとして、自分は何かやるだろうか。
いやいやながら。たぶん、いやいやながら。しないといけないことだから。そこから逃げたら、たぶんまともな大人になれないから。一生後悔するから。