西加奈子「漁港の肉子ちゃん」
あらすじ
男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。太っていて不細工で、明るい―キクりんは、そんなお母さんが最近少し恥ずかしい。ちゃんとした大人なんて一人もいない。それでもみんな生きている。港町に生きる肉子ちゃん母娘と人々の息づかいを活き活きと描き、そっと勇気をくれる傑作。
肉々しい物語でした。肉子だけに。
割と悲惨な現実を悲観することもせず、力強く生き抜く肉子ちゃんには人間賛歌を感じる。
解説も含めて、僕たちの生きる現実を肯定してくれる、読者1人1人が肉子ちゃんになれる、そんな優しさに溢れた小説でした。
「肉子ちゃん。」
「大好き。」
「ばああああああああああああああああああああっ!」
あんまり醜いものだから、私は思わず、肉子ちゃんから、目を逸らした。