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おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

山本周五郎「青べか物語」

箱庭世界観


あらすじ
うらぶれた漁師町浦粕に住みついた“私"の眼を通して、独特の狡猾さ、愉快さ、質朴さをもつ住人たちの生活ぶりを巧みな筆で捉える。

一つの世界の構築度では指輪物語に比肩するのでは。あるいはゼルダかもしれない。
他人の妻を寝取って悪びれることもない、寸借詐欺を働き開き直る、そんな欲にまみれ薄汚れた民衆たちの生き様が肯定的に活き活きと描写されている。
汚物と隣り合わせの純愛が垣間見える瞬間にはあまりの美しさに息を飲みます。
清濁合わせて肯定するのが真のヒューマニズムなんでしょうな。今の文学界でここまで巨視的に現実を認識できる作家がいるかどうか。
文学が世界を作り出す力を持つことを示す、身震いするほどの傑作。