おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

読書

ダグラス・アダムス「宇宙の果てのレストラン 」

ラジオドラマの脚本を小説に仕立てた経緯もあり構成のバランスが悪く感じた逆にSF的な設定がしっちりしているのでマニアには堪らんのだろう普遍性を放棄し、カルト的な人気に留めた作品

チャールズ・ブコウスキー「ありきたりの狂気の物語」

「町でいちばんの美女」と対になる短編集。青野聰によるあとがきが感動的。どう考えてもトイレが詰まったのは彼女がきてからだった。それだけではない、いらいらや陰気な考えや不吉な空気みたいなものが、みんな彼女とやってきたのだった。彼女自身は、戦争…

小野不由美「月の影 影の海」(再読)

改めて読み返すと銀英伝の影響が色濃くて、世界観そのものに作品意図を感じる。 この世界、天帝が理想の国家を作ろうと計画して築き上げた感じするな。女媧的な 開発独裁しか許さない理になっているのも気になる。何かの実験場のような 里木からしか子供が産…

ヘッセ「デミアン」

不思議な小説である。書き初めは青春小説のようでありながら、最後は近代的自我の誕生と近代の誕生に至る。ここに綴られる言葉の数々はヘッセ自身が得た啓示なのだろう。大切にしたい言葉の強さがある。私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところの…

ダグラス・アダムス「銀河ヒッチハイク・ガイド」

バカSFとして著名なんだけど、出てくるエピソードが悉くエスプリが効いてて作者の教養水準が伺える。何気に作者はモンティパイソンの関係者だったりもする。更に言うとDrフーとの絡みもあって英国サブカルチャーの底力を感じます。JKローリングもこーゆーノ…

大塚英志「木島日記 もどき開口」

大筋でつまらんかった。出てくる文学知識も大ネタばかり。ただ、最後の仕分けは圧巻につきる。サブカルもどきの皇国史観が首相の口から飛び出す現代だから皮肉がきいてる。「つまりこの国が今やあってはならないものなのだ」

野崎まど「know」

最後のオチが釈然としない。戻って来れるの?

岡田尊司「パーソナリティ障害 いかに接し、どう克服するか」

めちゃくちゃ良い本でした。人間観察系の本としては完成形では無いでしょうか。様々な経験を積んだ著者の語り口は優しく、人間の大きさを感じます。ちなみに僕は強迫性と自己愛性障害が当てはまりました!「先生、転んでも大丈夫です。一回余分に起き上がれ…

神岡真司「効きすぎて中毒になる 最強の心理学」

サイコパスにもらったので読んでみました。文体の浅薄さといいサイコパスぽくて良かったです。

朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」

映画見てから読んだのであっさりした印象でした。人間関係が淡白で最後まで相互理解は得られない。僕は実質朝井リョウなのでこの感覚分かるな〜と思います。他人の心情は理解不能ということ、自分が何者であるかは自分で決めないといけないこと

朝井リョウ「時をかけるゆとり」

直木賞を取っていないことを除けば実質朝井リョウなので読んでみました。さくらももこの延長線にあると思うんですけど、ブログ的というか、あまり敵を作らない書き方の印象です。冷静に観察して目的に向かって飄々と行動する。これがインターネット世代、ボ…

チャールズ・ブコウスキー「町でいちばんの美女」

ホモ率が高い。。。どの話もバイオレンスと下ネタまみれで悪ふざけている。明らかに旧き良きアメリカ文学との間に断絶があって、露悪趣味とも取れる厭世観は大戦を経てのものかもしれない。計算してのものではないだろうが「白いあごひげ」には特に戦争の影…

ミヒャエル・エンデ「鏡のなかの鏡―迷宮―」

「バベルの図書館」を始め言葉によって形而上学的な概念を描き出す試みは昔からあって、本作はそうした流れに位置する実験小説と思われる。タイトルの通り夢を舞台にした意識の可視化が主題となっていて、物語として面白いかというと好き好きではあるが、こ…

津村記久子「エヴリシング・フロウズ 」

成長の物語津村記久子という書き手に対する信頼が僕にはあって、それは作者が立脚する価値観、世界観が正しく在るべきものと感じるからだ。解説でも触れられているように、彼女はラベルを貼って物事を分かった風に誤魔化さない。それと同時にキャラクターの…

チャールズ・ブコウスキー「パルプ」

パルプ小説のパロディとして書かれた本作。B級にB級を重ねているので訳が分からない筋立てとなっている。それもブコウスキーらしさというか、ブコウスキーのグダグダさが好きな人には堪らないのかもしれない。僕はどうでも良かったです。

野崎まど「バビロン3 ―終―」

無知の悲しさゆえ、タイトルが大淫婦バビロンから採られていると初めて知った3巻。新域を悪徳都市バビロンになぞらえる趣旨もありそう。今回は聖書からの引用が多用されたことで物語の方向性というか作者の意図が見えてきた。元々曲世の能力には宗教的な感…

カズオ イシグロ「夜想曲集」

全体的にインパクトが弱かった。「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」と副題にあるように、人生の倦怠と黄昏を迎えつつある男女のうだつの上がらないドラマが繰り広げられる。一冊通じて音楽にある種の慰めを見出す底層があるけど今ひとつ必然性が足りてない…

ジュノ・ディアス「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」

最後のオチが釈然としなかったんだけど↓のAmazonレビューを読んで意味が分かった。シャッハさん。。。https://www.amazon.co.jp/review/R35ZP6R83YHJDX/ref=cm_cr_srp_d_rdp_perm?ie=UTF8&ASIN=4105900897

開高健「 日本三文オペラ」

小説というかルポっぽい。新ナニワ金融道でアパッチ族のことを取り上げていたので読んでみました。今も大阪に残る猥雑さが戦後のこの辺りから続く系譜にあると得心できた。醜くとも意地汚くても生きなければいけない哀しみが胸に伝わってくる。人間賛歌では…

野崎まど「バビロン 2 ―死―」

エグっ…最後に曲世が直接行動に出た理由が不明だった。やはり女性相手だと精神操作は働かないのだろうか。3巻が出るまでは位置づけが定まらないな。はよはよ。

野崎まど「バビロン 1 ―女―」

ラノベ調の表紙で損してるなと思った。確かにキャラは立っているが、キャラクター小説とは異なる質感がある。角川ホラーとかで出した方が良かった気がする。表紙可愛いけど。導入部としては申し分ない1巻目なので続きに期待。しかし最終巻は発売延期になって…

平山夢明「ダイナー」

あらすじひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、カナコは生き延びることができるのか?暗躍す…

シャーリイ・ジャクスン「処刑人」

全ての女はメンヘラである/あった。モラトリアムに多額を費やし、与えられた家庭に不満を垂れ、意味もなく周囲と諍いを起こす。そんな未熟な自意識は少女を破滅の淵へと導いていく。頭が良いジャクスンは女の業を自覚し受け入れていたんだろう。一読しただ…

安部公房「水中都市・デンドロカカリヤ」

あんまり人間性を阻害されるとデンドロカカリヤになっちゃうよ!安部公房作品に漂う閉塞感、モノクロな情景を見ると昭和の作家だなと思う。ストーリーテリングは無国籍風なんだけどね。現実の不確かさ、個人の脆弱さには戦後の影が落ちているのかもしれない…

又吉直樹「火花」

持続するか分からないけど、少なくとも火花を書いた時の又吉直樹は天才だった。芸人が書いたという話題性抜きに素晴らしい本でした。努力が報われない、正しいことが通らない、かもしれない。それは青年期を通して誰もが学ぶことだと思う。あれほどあったは…

レイ・ブラッドベリ「刺青の男」

刺青が語り出すって設定はコンセプト勝ちですな。あらすじ暑い昼下がりにもかかわらず、その男はシャツのボタンを胸元から手首まできっちりとかけていた。彼は、全身に彫った18の刺青を隠していたのだ。夜になり、月光を浴びると刺青の絵は動きだして、18の…

西加奈子「漁港の肉子ちゃん」

あらすじ男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。太っていて不細工で、明るい―キクりんは、そんなお母さんが最近少し恥ずかしい。ちゃんとした大人なんて一人もいない。それでもみんな生きている。…

杉浦日向子「百物語」

特に怖くはないあらすじ江戸の時代に生きた魑魅魍魎たちと人間の、滑稽でいとおしい姿。懐かしき恐怖を怪異譚集の形をかりて漫画で描いたあやかしの物語。杉浦日向子はストーリーというより空気を描く。この作品世界が息づいている感覚は、近年だと森美夏に…

高野秀行「未来国家ブータン」

あらすじ「雪男がいるんですよ」。現地研究者の言葉で迷わず著者はブータンへ飛んだ。政府公認のもと、生物資源探査と称して未確認生命体の取材をするうちに見えてきたのは、伝統的な知恵や信仰と最先端の環境・人権優先主義がミックスされた未来国家だった…

下園壮太「自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れを取る技術」

精神的マッチョになろうと思って読んで見ました。要約すると「精神活動もエネルギーを消費するから休んだり計画建ててコントロールしよう」ということになります。メンタルの問題は自分でも把握しづらいため、こうした本を読んで客観視することが大切だと思…