おれん家の本棚

音楽・映画・書籍なんかのテキトーな感想。フツーにネタバレする。

ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄(上)」



やっと上巻読み終わりました。僕は進化が遅れているのかもしれない…
ひたすら事例挙げて論証していくので長い長い。有意であることを証明するために必要なプロセスなんでしょうけど主張は自明なので省いちゃって欲しいです。
作者が知性派の原始人みたいな風貌してるのは狙ってるのかなと思いました。

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ホイチョイ・プロダクションズ「新東京いい店やれる店 」



とても勉強になりました。
仮に色恋を抜きにしても、大切な歓待をセッティングする際に、いい年した大人が和民しか知らないというのは情けが無さすぎると思いませんか。
本書はバブルの仕掛け人ホイチョイ・プロダクションズの手によるだけあって東京という巨大な文化を理解するテキストに仕上がっています。
エリア毎に実用的な店を知っているというのは重要で(どの場面でも適切にアテンドすることが出来る)、この本を読むことで点ではなく面を押さえることが可能になります。
もちろん女人に使うと一層喜ばしいので効能のほどは今後の生活で実証していきたいと思います。

吉野源三郎「君たちはどう生きるか」



岩波少年文庫の創設者、吉野源三郎による有名な道徳本。前々からタイトルが気になっていたので読んでみました。
これちょうど第2次大戦前夜に発表されていて、閉塞していく全体主義社会の中で個の倫理を失うなとのメッセージ性が強い。
君たちとは即ち読者たる少年、次代の担い手たちを指しているのです。
意外なほどイデオロギー色は無くて、もっと普遍的なヒューマニズムをもって抑圧に抗しようとした試みが素敵でした。けっこー勇気をもらえる。

そこで、最後に、みなさんにおたずねしたいと思います。
君たちは、どう生きるか。

立川談春「赤めだか」

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今まで落語における人情咄・怪談咄の位置付けを掴みかねていたんだけど、作中で談志の言葉を借りて「落語とは業の肯定」と言い切るのを見て初めて納得いった。
笑わせるだけが落語ではないのだ。
また文庫版の装丁が素晴らしくて、人間の弱さ悲しさ可笑しさを描いた談秋のエピソードを想起させる作りになっている。
咄を語るとは人の本質に近づくことなのだろう。存在の全てをもって。

クライヴ・バーカー「ラスト・ショウ」



血の本最終巻。
絶版になっているのをこつこつと1冊ずつ入手しては足かけ4年読んでいたので感慨深いものがある。
改めて驚かされるのはSFからスパイ活劇までに渡るバリエーションの豊富さと外れのなさでした。
この後のバーカーはヘルレイザーなど映画方面での活動の方が有名になったきらいがあるけれど、原点にして極に達したのは本シリーズでしょう。
1人の天才の絶頂期を示す傑作集。

Every body is a book of blood; Wherever we're opened, we're red

全ての肉体は血の本である。どこだろうと開いてみれば、赤に染まる

伊坂幸太郎「仙台ぐらし」



伊坂幸太郎が仙台のローカル紙で連載してたコラムのまとめ。
伊坂節というか、肩の力が抜けた話ばかり収録されています。
頭の良い人間のエッセイはテーマが無くても読ませるものがある。

梶井基次郎「檸檬」



色んな版元から出てるんだけど(青空文庫でも読めます)、こっちの表紙が良かったので買っちゃいました。
意外と読みにくい気がします。文章を練りすぎてませんかね?
それは兎も角、表題作・「桜の樹の下には」と色彩感覚が鮮やかな作家であるな〜と思います。
病苦の中、かえって磨かれていった感性。美しいものを希求する魂。そんな純としたものを思い起こさせる掌編でした。